『ラ・マンチャの男』は、スペインの小説「ドン・キホーテ」を原作としたミュージカルで、1965年にブロードウェイ初演。

日本では1969年の初演より、松本白鸚(当時は市川染五郎)が主演し、その後半世紀超、単独主演で公演され、白鸚さんの代表作として知られている。2019年には前人未踏の単独主演50周年、通算上演1300回を達成。

2022年2月に《ファイナル公演》と銘打ち日生劇場で開幕したものの、新型コロナウィルス感染症の流行で公演は中断。今回《幻のファイナル公演、奇跡の復活》として上演された。

1969年『ラ・マンチャの男』(映像提供:東宝演劇部)

公演中断で幻となった、2022年のファイナル公演前の本誌インタビューでは

「今こうして振り返って考えてみると、夢が自分の人生だという気がします。もうすぐ『ラ・マンチャの男』が開幕しますけど、この作品から学んだことは、夢というのはただ夢見たり語り合うだけのものではなく、夢を実現させようとするその人の心意気だ、ということなんですね。」(『婦人公論』2022年2月号より

と語っていた白鸚さん。『ラ・マンチャの男』は幕を閉じたが、「これからも命ある限り芝居を続けてまいります」との言葉通り、これからも白鸚さんの夢は続くのだろう。