自宅から、オンラインで『かりん』の編集会議に参加する(写真提供:映画『幾春かけて老いゆかん 歌人馬場あき子の日々』より)

はがきを握った瞬間に初句と結句が見える

これまでに1万首を詠み、歌集は27冊を数える。現在も新作の歌は短歌雑誌の巻頭を飾る。先日は『現代短歌』(22年9月号)の求めに応じて、ウクライナに寄せる歌を詠んだ。

弾うけて斃れし人は撮されぬその血も見えずその声もなく

――最初はウクライナの映像を見ても、それはカメラマンが命がけで撮った映像で、歌を創れと言っても2次的なものでしかないからと躊躇していたんですよ。

しかし、その映像の有効期間を考えたらきっと戦中戦後でしょ。一方、歌詠みの1行、1首の力は歴史の映像として記憶され、時代を超えて読まれるかもしれない。それで決心がついて私も創りました。そういう魅力が短歌にはあると思う。