最初の出会い

まえけんさんとの最初の出会いは、今もはっきりと覚えてる。

都内の狭い小屋でのお笑いライブ。おそろしく狭い楽屋で横並びにメイクをしていたのが、まえけんさんだった。

本連載から生まれた青木さんの著書『母』

わたしは嬉しくて
「この前、オンエアバトルみました!」
と声をかけた。すると、まえけんさんはこっちも見ないで
「だからなに?」
と言った。

わたしは、「ありがとうね!」とか、「嬉しい」とかって返ってくるもんだと思ってたから驚いた。だからなにって、なに?と思ったけれど、何か言わなきゃと、「面白かったです」と、言ったら「あ、そう。で?」と言われたもんだから、「終わりです」と答えた。その日はそれきり何も話さなかった。