まえけんさんを思い出す風
わたしの元旦那さんを紹介してくれたのは、まえけんさんだった。
まえけんさんがいなかったら、娘にも会えなかったのだな、と時々思う。
娘は、きっとまえけんさんと仲良くなっていたと思う。何故なら、わたしへの指摘が、まえけんさんととても似ているのだ。鋭いといえばそうだし、ムカつくとも言える。
竹山さんと長井さんとわたしは
近況や、仕事や、お弁当の話なんかをして
「また集まろう」
と言って記念写真を撮って別れた。
帰り道、もうすぐ夏が来そうな涼しい風が吹いていて、命日は覚えられないけれど、この風はまえけんさんを思い出す風だと、覚えていられそうな気がした。