圧倒的なオーラを放つトップスターの存在、一糸乱れぬダンスや歌唱、壮大なスケールの舞台装置や豪華な衣裳でファンを魅了してやまない宝塚歌劇団。初の公演が大正3年(1914年)、100年を超える歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」には「花・月・雪・星・宙」5つの組が存在します。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第47回は「残念な怪我」のお話です。
(写真提供◎越乃さん 以下すべて)
(写真提供◎越乃さん 以下すべて)
船上コンサート
体だけが丈夫な私も怪我だけは避けて通れず、
怪我では何度か泣かされています。
退団の公演の時にも膝を痛めてしまい、
こんな時になぜ!と自分に腹が立ち、悔しくて、
病院に行きながら、痛み止めと注射で何とかやる日々でした。
気合いと根性で舞台に立ってきましたが、
その後も残念な怪我をしたことがありました。
それは退団してからのお仕事で、
「飛鳥Ⅱ」の船の旅の船上コンサートでした。
大きな船だから自分が考えているような揺れはそう無いとは思うものの、
未経験というものはいつだって不安と緊張です。
ところが、いざ船に乗り込むと、その豪華さと非日常空間にわくわくし、
それまでの不安と緊張は一気に吹っ飛びました。
吹き抜けのエントランス、美食の船だとは聞いていましたが、
そのラインナップにワクワクが止まりません。
ドレスコードで楽しむディナー、ランチやティータイム、
エンターテイメントやカジノ、大海原を眺めながらバルコニーでお酒も。
終わったら私も船の旅を楽しむぞ!
アドレナリン全開でいざ本番へ。