優勝後、観戦にきていた家族と記念撮影するラーズ選手。左から2番目が久美子さん(写真提供:読売新聞社)
第5回ワールド・ベースボール・クラシック(以下、WBC)で、見事三度目の優勝を果たした侍ジャパン。日本戦は全7試合で視聴率が40%を超えるなど、大きな盛り上がりを見せた。なかでも注目を集めたのは、日本人の母を持つメジャーリーガー、ラーズ・ヌートバー選手の存在だ。走攻守揃ったプレーはもちろん、栗山英樹監督をして「100%全員が好きになる」と言わしめた人柄、そして母・久美子さんの愛すべきキャラクターも人気を呼んだ。大会直後の久美子さんにいまの思いを聞いた。
発売中の『婦人公論』2023年6月号から、特別に記事を先行公開いたします。(構成=田中 仰)

金メダルをプレゼントされた

ラーズが日系選手として初めて日本代表の一員となり戦った約3週間は、夢のような時間でした。日米が対決した決勝では、アメリカ人の夫・チャーリーも日本を応援。優勝の瞬間は抱き合って号泣しました(笑)。ロサンゼルスの自宅で平穏な日常に戻るなか、いまも熱狂の余韻に浸っています。

ラーズはもともとマメにプレゼントをくれる子ですが、今回の金メダルは特別嬉しかったですね。「母は自分にすべてを捧げてくれた人」と語っていたことは、大会後に聞きました。

だからこのメダルは、サポートしてきたことへのお返しなのかな。これまでのトロフィーとわけが違うので、チャーリーの言うとおり、すぐに金庫にしまいました。(笑)

こうして私が取材を受けるのも、なんだかおかしな話ですよね。WBCの間も、ファンの方からサインや写真撮影を求められるので、「普通のおばちゃんなのにいいの?」と思ったのですが、皆さん「いい」って。