●ピカソの言葉

わたしは子どもらしい絵を描いたことがなかった。
子どものころからラファエロのような絵を描いていたからね。
子どものような絵が描けるようになるまで一生かかったよ。

子どもの絵の難しさ

画家志望の美術教師であったピカソの父親は息子の才能に早いうちから気づき、絵画の英才教育を行いました。

『ピカソの言葉――勝つためでなく、負けないために闘う』(著:山口路子/大和書房)

9歳のときに、すでに本格的なデッサンを描くことができ、そんな息子の才能に敬服した父親が、自分の絵の道具を息子に与え、自分は二度と絵を描かないと宣言したのはピカソが13歳のとき。まさに天才少年だったのです。

そんなピカソが晩年になって、ようやく子どものような絵が描けるようになった、と言っているのです。「高度なテクニックで描くよりも、思うまま自由に描くことのほうが難しい」ことを語る言葉です。

画家として成功してからも、通りで道や壁に子どもたちが絵を描いていたりすると、必ず立ち止まってじっと見入っていました。

「子どもたちの手が創り出すものには、びっくりさせられるよ。子どもたちはわたしにいろんなことを教えてくれるんだ」

自分の子どもたちに対しても、好きなように描かせて、彼らが描く絵を興味深そうに眺め、絵を褒め、けっして描き方などは教えませんでした。