●ピカソの言葉

学校で悪いことをすると「独房」に入れられた。
壁が白くてベンチのある部屋だ。
わたしはそこに入れられるのが大好きだった。
ノートに好きなだけ絵が描けたからだ。
邪魔するものがいないひとりきりの部屋で、描いて描いて描きまくった。

勉強ができない

ピカソは勉強ができない少年でした。読み書きも計算もだめでした。やる気がないわけではないのです。

「わたしにとっては集中すること自体がまさに問題だった。集中しなければならないと思うと、集中することに気をとられ、ますます混乱してしまうんだ」

学業面はまるでだめでも、絵を描くときの集中力には周囲を圧倒するほどのものがありました。だからこそ息子に対する両親の信頼は厚く、期待も高く、ピカソは学業ができないことを責められもせず、「おまえはすごい」と言われ続けたのです。

ピカソの自己肯定感の高さは生まれもったものも、もちろんあったでしょうが、環境も無視できないでしょう。

それにしても、独房で描きまくる少年ピカソの姿はそのまま、死の直前までひとりきりのアトリエで描きまくる老ピカソと不思議なくらいに重なります。

人生を描くことに捧げたひとりの人間がそこにいます。