朝ドラ『まれ』は一世一代の大勝負
その後、2005年に「スーパー・ヒロイン・オーディション ミス・フェニックス」で審査員特別賞を最年少で受賞し、2007年に11歳芸能界デビュー。映画やCMの仕事を受けながらも、次第に不安が募るようになったという。
中学2年生から大学1年まで、将来についてすごく悩んでいました。オーディションは受からないし、モデルのお仕事では現場で存在を忘れられるなんてこともありましたね。
大学1年の時に、NHK連続テレビ小説『花子とアン』に出演が決まりました。ヒロインの妹・ももを演じましたが、その後は次のお仕事が決まらず、アルバイトをしながら「進路どうしよう…」と常に悩んでいました。コンプレックスも増え、今思い出しても辛い時期です。
それでも、大学3年生の時、2015年放送の連続テレビ小説『まれ』でヒロイン・津村希役を射止めることができました。当時は、「朝ドラでメインキャストを演じるとヒロインにはなれない」というジンクスがありました。『花子とアン』でメインキャストとして出演していたので、もうダメかと思いましたが、次に控えるお仕事が無かったので、「これしかない!」という一世一代の大勝負だと思ってオーディションに挑みました。
とても印象的だったのは、最終テストでは本番の衣装を着て、ポスターを想定した撮影をしたことです。まだ本決まりしていない役者に対してここまでやるんだ!と朝ドラのヒロインの特別感に驚いたのを覚えています。
当時、朝ドラのヒロインを演じた後は、長く休む方も多かったです。一方で「朝ドラ特需」という言葉もありました。かといってそのバブルも持って半年。どうせいつか終わってしまう需要ならば、お声がかかる限り全力で走ろう!そう思った延長線上に、私はまだ今もいる感じです。
一時期は、いろいろな方から「役を選んだほうがいい」とアドバイスをいただきましたが、性格的にどんな役でもいただくこと自体にワクワクします。今年デビュー15周年になりますが、昔も今も、出会う役、出会う役をがむしゃらに生きてきました。私が役を選べる環境にあって、私の視点で役を選んでいたら、ここまで多くの「応援してくださる方々」に出会えなかったのではないかと思っています。
演技をするお仕事に悩みはつきもの。今はありがたいことに多くのオーディションを受けて役を射止めなければいけない状況ではなくなりました。でも作品一つ一つの評価が次の仕事のオーディションだというプレッシャーがあるので、苦しさがないと言えば嘘になります。ただ作品を多くの方が見てくださり、感想をいただけた時は心が踊りますし、私のファンになってくださる方々にも出会うことができて、本当に幸せです。