撮影◎本社・奥西義和
夏木マリさんのプロデュースで6月に開幕する舞台『ピノキオの偉烈』で主演を務める女優の土屋太鳳さん。3歳の頃から日本舞踊やクラシックバレエを習い、日本女子体育大学へ進学。その後、朝ドラ『まれ』のヒロイン役を演じて注目を集めました。2016年、オーストラリアの歌手siaが歌う、世界的ヒット曲『Alive』の日本版ミュージックビデオに出演。約4分半の動画で披露したコンテンポラリーダンスが、今回のオファーにつながったといいます。今年でデビュー15周年を迎える土屋さんが語った、表現者としての意気込みや葛藤とは。(構成◎岡宗真由子 撮影◎本社・奥西義和)

〈前編〉よりつづく

俳優を目指したきっかけ

私が通っていた小学校には「劇の会」という行事がありました。脚本も演出も配役も子どもたちが主体になって演劇を完成させます。私は4年生の時に酔っ払いの役を演じました。台詞はなく、花道を舞台まで歩いてお地蔵さんに近づき、ふざけた挙句、怖くなって逃げるという役どころです。

ただフラフラしているだけだと面白くないと思い、頭にネクタイを巻いたり、酒瓶に見える小道具を自作したりして歌いながら演じました。

上演後には観ていた他の学年の生徒や保護者の方々から「とても良かったよ!」とたくさん声をかけられました。

あまり話したことがない人にも喜んでもらえて、嬉しかったです。その時の「演技って、こんなにも人の心を繋ぐんだ」という感動が、私が演技に魅了されるようになったきっかけです。