多種多様にある薬。自己判断の服用は危険

まずは、薬の種類についてお話ししましょう。薬には、医師の診断に基づいて処方する「処方薬(医療用医薬品)」と、薬局などで購入できる「市販薬」があります。

処方薬は、医師が診察したうえで、症状や体質、年齢などをふまえ、適切な服用量を計算して薬剤師に指示するもの。一人ひとりに合わせたものなので、市販薬に比べ、効き目が強く効果を実感しやすいのが特徴です。薬効成分量が多い半面、副作用のリスクが高いとも言えるでしょう。

一方の市販薬は、医師の処方箋なしで手に入れられるもの。大きく2つに分類されています。

1つは、「要指導医薬品」。これはもともと処方薬だったものですが、比較的安全性が高く、病院に行かなくても多くの人が購入できるよう市販薬に分類された、という背景があります。そのため効き目は処方薬と同じくらい強く、よって副作用のリスクも高め。薬剤師の指導がなければ購入できません。

もう1つは、「一般用医薬品」と呼ばれるもの。副作用の危険度が高い順に、第1類から第3類に分類されています。第1類は鎮痛薬のロキソニンや、胃薬のガスター10などが該当し、「要指導医薬品」と同様に、薬剤師の指導がなければ購入できません。

第2類は「できれば薬剤師に相談して購入したほうがいい」もので、風邪薬などが該当します。第3類は薬剤師への相談は不要。誰でも購入できる薬です。ドリンク剤や整腸剤などがそれに当たります。

次に、薬の「作用」についても解説しておきましょう。薬には、(1) 原因に対処する。(2) 症状を抑える。(3) 病気を予防する。(4) 不足した分を補う、という4つの作用があります。

治療を目的とするものが(1)で、抗がん剤や抗生物質などを思い浮かべるとわかりやすいでしょう。(2)は現在起きている不快な症状を抑える「対症療法」に使うもの。解熱鎮痛剤などが該当します。喘息の発作などを予防するのが(3)、糖尿病のインスリン不足を補う作用があるものなどは(4)に分類。

一口に薬と言っても、これだけ種類も作用も多種多様なため、副作用の出方は医師でも予測できないことがあります。当然、飲む薬の数が多くなればなるほど、飲み合わせリスクも上がるため、安心感のために薬を常用したり、自己判断で服用したりするのがどれだけ危険かが、おわかりいただけたでしょう。