焼畑を持続させるためには
焼畑は森林を切り拓いて、伐った樹木を焼き払ったあと、その跡地で数年間作物栽培をして、地力が衰えたら放棄して、次の森林に移動していく耕作方法である。英語ではshiftingcultivation という。直訳すると「移動耕作」となる。火入れを毎年しているわけではないので、こちらのほうが実態をよく反映している。
再び同じ林分を伐採・火入れするまでの休耕期間は、森林と土壌が炭素蓄積を回復し、火入れと作物栽培の影響をオフセットするための期間であり、土壌の肥沃度が復元できるだけの十分な長さが必要である。
この休耕期間さえ十分にとれれば、熱帯林が焼畑で破壊されることはなかった。焼畑が持続的であるためには、林分の回復についての正確な判断が求められる。
しかし、現在ほとんどの焼畑耕作では、食料増産の要求に屈して林分の回復についての判断基準が甘くなっており、休耕期間が短くなってしまうため、林分が十分に回復する前に焼畑を繰り返し、土地の生産力が徐々に減退してきている。
かくして焼畑は森林を破壊する元凶として槍玉に挙げられる。しかし、本来なら、複雑な天然林で炭素蓄積能を積極的・持続的に利用する最も合理的な農業生産システムであるはずなのだ。
山に火をつける火入れは、慎重の上にも慎重に行わなければ、これまで見てきたような大規模な森林火災が簡単に引き起こされてしまう。火入れは斜面の上からはじめ、炎は小さく保ち、火が周囲に広がらないようにする。
最後に焼いている現場の真ん中に火が集まるように心がけるのがコツである。しかも、まんべんなく焼かなければならない。