森林の裸地化が進む危険性
焼畑に火事の危険や土地の劣化の課題があるように、間作にも技術的な課題がある。
間作は同じ土地で樹木と作物、さらに畜産を組み合わせると飼料も生産するので、光や水を巡る植物のあいだの競争は熾烈になる。
利用できる光や水の量は変わらないので、それぞれを単作した場合よりも収量は少なくなるし、農作業も複雑になる。樹木が成長してくると、本数の調整をしなければ樹木が農地を占有してしまって、作物を追い出してしまうことにもなるので、農地で樹木を育てることへの農民の抵抗感は大きい。
ケニアでは農地へ樹木を導入するために、農業改良普及員は農民に対して、樹木が作物生産を助ける役割をことさらに強調して説明していた。
焼畑は熱帯林だけでなく、乾燥地林でも行われている。しかも、同じ森林で炭の生産や木材利用が進むので、休耕期間がいっそう短くなり、森林は急速に劣化し裸地化が進んでいく。
たとえば、マダガスカルのバオバブが混生する灌木林の中には、黒く焼けた枝や白く燃えてしまった灰が地表を覆っている空き地があった。焼いたばかりのできたての焼畑である。まだあちこちに茶色い地面が顔を出していて、十分な地力が回復したようには見えず、作付けをしても多くの生産は望めそうもなかった。
近くの焼畑農民の集落では顔に白や黄色の粉をまだらに塗った女性たちが車座に集まって、焼畑で採れたばかりのキャッサバ芋の皮をむいて真っ白な大根のようにして売りに行く準備をしていた。周りの森林がなくなってしまえば、彼らは村ごと移動してしまうのだろうか。