焼畑耕作に必要な技術

火入れのあとの農地が十分な生産力を発揮するためには、焼いたあとに十分な量の枝葉や灰、燃えかすが残り、それらを土にすき込んだときに土壌の肥沃度が元通りに回復していなければならない。

『森林に何が起きているのか――気候変動が招く崩壊の連鎖』(著:吉川 賢/中公新書)

そのためには、火入れをする前の森林に植物が繁茂している必要がある。十分な休耕期間のあとに実施される火入れとその後の耕起は、どちらも雨が降り出す前に終わらなければならない作業であり、タイミングが大事である。

乾季の終わりに近づいて、そろそろ雨が降りはじめると思われるころに火をつけるのだが、予想通りに雨季がやってこないと、作付けをする前に燃やした灰がみんな風で飛んでいってしまう。予想より早く雨が降りはじめると、燃やすはずだった草木が湿ってしまって火がつきにくくなり、うまく焼けなくなる。

焼畑耕作にとって観天望気は作柄を左右する重要な作業であり、地域ごとに高度な伝統的技術が発達している。