ジャイアンツOBの3人が語る「球場」論とは――(写真:『昭和ドロップ!』より)
WBCが大盛り上がりし、再び注目が集まっている野球界。現在、プロ野球はレギュラーシーズン真っ只中です。週刊誌『週刊ベースボール』で2020年から連載している『昭和ドロップ!』では、昭和に生まれ、昭和に育った元野球選手が令和の今、荒々しくも華やかだった昭和のプロ野球を愛あり笑いありで語り尽くしています。今回は定岡正二さん、篠塚和典さん、川口和久さんが登場。ジャイアンツOBの3人が語る「球場」論とは――。

プロ野球の聖地「後楽園球場」

川口 サダさん、今回の『球場』というテーマは僕が思いついたんですよ。僕は子どものころ巨人ファンだったので、後楽園球場が天然芝だった時代、長嶋茂雄さんの引退試合とかをテレビで見て、「きれいなところだな」って思っていました。後楽園はずっと、あこがれの場所です。

定岡 実際に投げてどうだった?

川口 マウンドに立ったときは、うれしかったですね。ただ、「あれ、こんなにマウンド高いんだ」っていう驚きもありました。広島市民球場は、なだらかでしたからね。

定岡 ジャイアンツは伝統的に右投手の本格派が多いからマウンドの傾斜はあった。そのほうがオーバースローは投げやすいからね。僕も投げやすかったよ。でも一番好きな球場は相手のユニフォームが赤いとこだけどね。

川口 さすがカープキラー(笑)。

定岡 たくさん勝たせてもらったからね。だから、広島市民球場が取り壊されるときは寂しくてね(2010年から解体作業、12年に終了)。冗談じゃなく、広島に行って、最後にお礼を言っておこうかと思ったくらいだった。

川口 俺も一番好きなのは市民球場だけど、投げやすかったのはナゴヤ球場ですね。マウンドの傾斜がちょうどよくて、マウンドからの視界も含め一番でした。

篠塚 僕は横浜スタジアムが好きだったな。甲子園もあったけど、当時としては広かったから、ヒットゾーンが広いように感じたんだ。

川口 横浜は、できたときは大きさで話題になりましたものね。俺も何かの取材で聞かれ、「こんなに広いんですね!」と答えた記憶があります。今じゃ狭いとしか思わないのに。

定岡 東京ドームができたときも「これはホームランが激減する」と言われ、しばらくは実際、減ったけど、今は一番ホームランが出やすいくらいだからね。不思議なもんだな。

川口 打者のパワーアップはあると思いますが、やっぱりボールでしょうね。こすった当たりが逆方向に入ってしまうと、投手OBとしてはガクンとしちゃいます。

篠塚 一番、飛ばなかったのが、できたばかりの福岡ドーム(現PayPayドーム)かな。距離やフェンスの高さ以前に、練習でもまったく飛ばなかったからね。

川口 シノさんに聞きたかったんですが、圧縮バットって飛んだんですか。

篠塚 うん、やっぱりね。

川口 あの焦げたヘッドが好きだったんですよ。

篠塚 圧縮したときに焼くんだ。僕は圧縮バットが禁止になったあと、キャンプでヘッドだけ自分で焼いたことがある。飛ぶかどうかは別にして、焼くと木が強くなるんだよね。