ツバメの婚外交尾、子殺し

ツバメの繁殖が一部の優良物件に集中してコロニー状態になると、新たな問題が生じてきた。その一つが婚外交尾である。

ツバメは一夫一妻であり、雌雄で子育てをする。ところが、ヨーロッパのツバメの場合、生まれてくる子どものDNA検査を行ったところ約30%が配偶者以外の雄の子(婚外子)であった。ヨーロッパでは、牛舎などで集団繁殖するため、婚外交尾が起こりやすい環境にある。

それに対して日本のツバメは、婚外子の割合は約3%と低い(長谷川克著、森本元監修 2020『ツバメのひみつ』緑書房: 95-99)。日本のツバメは各家に分散して繁殖するため婚外交尾の機会が少ないと考えられている。

ところが、日本でも道の駅や高速道路のSAなどで高密度での繁殖が増えてきた。今後、日本でも婚外子の割合が高くなるのかどうか、注目したいところである。

そしてもう一つ。営巣場所が密集することによる営巣場所や雌をめぐる争いの激化である。その結果、「ツバメの子殺し」が増加するのではないかという懸念である。

越川重治(こしかわしげはる)氏は2020年、21年に船橋市の民家で、ツバメの巣に監視カメラを設置して繁殖生態を調査したところ、驚くべき映像を収録した。

なんと、他の雄ツバメが巣を襲撃し、雛を引きずり出すシーンを記録したのである。2021年には4羽の雛が襲われて2羽が死亡した。高密度で繁殖している大柏川ビジターセンターでも、2020年7月に3巣で雛8羽が襲撃され巣から落ちている(越川重治 2021「ツバメの子殺し行動と雛への攻撃行動」『Urban Birds』38: 33-38)