カラス減少の背景を読み解く

自然教育園でカラスが減少した第二の要因は、オオタカやハヤブサなどの猛禽類の都市進出である。オオタカはカラスの捕食者であり、そのオオタカが都心の大緑地で堂々と繁殖する時代がやってきたのだ。

カラスが圧倒的に多かったときには、カラスは集団の力によってオオタカを追い払った。ところが、個体数が減少するにつれカラスとオオタカのパワーバランスが崩れ、オオタカの都心への進出が促進された。

自然教育園では2017年より毎年オオタカが繁殖するようになり、オオタカに捕食されたカラスの死骸の一部をよく見かけるようになった。

今やオオタカは、自然教育園のみならず明治神宮、新宿御苑などの都心の大緑地で普通に繁殖するようになった。

『都会の鳥の生態学――カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽の栄枯盛衰』(著:唐沢 孝一/中公新書)