M‌C‌Iの改善につながるビフィズス菌を発見

玉石混交の認知症予防に関する情報の中で注目されているのが、「ビフィズス菌MCC1274」だ。

21年に開催されたアルツハイマー病協会国際会議では、この株を発見した森永乳業が、軽度認知障害(MCI)に対して明確な認知機能改善作用が確認されたと発表。国際的な関心を集めた。

臨床試験の対象は、50歳以上80歳未満のMCIの疑いがある80人。MCC1274カプセルを服用するグループと偽薬を服用するグループに分け、16週後と24週後に認知機能の変化を調べた。

その結果、MCC1274を摂取したグループでは、認知機能が著しく改善。今聞いた人名などをすぐに思い出す「即時記憶」、ものの位置や向きを認識する「視空間・構成」、少し前のことを思い出す「遅延記憶」などの点数も向上した。

「脳と腸は、ホルモンや自律神経、感覚神経などでつながっています。つまりビフィズス菌で腸を整えると、脳にもいい影響があるということ。なかでもMCC1274は、細胞レベルでアルツハイマー病の原因となるアミロイドβの生成を抑えるという結果が出ています。アルツハイマー病患者は健常者に比べてビフィズス菌の占有率が低いという報告もあるので、予防に役立つ可能性は大いにあるでしょう」と新井先生は話す。

現在、MCC1274を摂取できるカプセル状のサプリメント以外に、ヨーグルト、飲むヨーグルトと3種類の商品が市販されている。