糾弾するではなく人柄のフォロー

さんまさんに話を戻すと、この数年は、あの美川憲一さんや和田アキ子さんに代わって、「芸能界の御意見番」的な役割を担っているように感じます。さんまさんは決して芸能スキャンダルを好んで話すタイプではないとお見受けしていますが、週末、放送される『ヤングタウン土曜日』(MBSラジオ)でのトークは《業界聴取率》100%と言えるのではないでしょうか。

特に注目されるようになったのは、2019年、吉本興業のいわゆる《闇営業》問題について、さんまさんが何を言うかが毎週のように注目され、ネットニュースやスポーツ紙に取り上げられたものです。私も『サンデージャポン』(TBS系)出演時、何度、「昨夜の深夜ラジオで、さんまさんは…」と説明したことでしょうか。

最近では、永山絢斗容疑者や、広末涼子さんについてのコメントが秀逸でした。優しいさんまさんは糾弾するよりも、実際に会ったときだとか共演したときのエピソードを話してくれるので、結果、人柄のフォローになる。永山容疑者の話でビックリしたのは、さんまさんの息子さん、二千翔さんの《お見合い》に立ち会ってくれて、懸命に背中を押してくれた…という話。私は《容疑者》と書いていますが、さんまさんはずっとラジオで「永山くん」と呼んでいました。

もはや、そういうことに対しても「なんで容疑者と呼ばないんだ」とクレームをつけてくる方もいらっしゃらないのではないでしょうか。そして広末さんについては、さんまさん主演の1998年7月期ドラマ『世界で一番パパが好き』(フジテレビ系)での《娘》ですから、その後の寵愛が、今回のスキャンダルでなくなってしまうわけではなくて……。

そもそもラジオというのは長い時間、話せば話すほど、その方の人柄が出やすい媒体です。曲をたくさんかける番組の喋り手が「DJ(ディスクジョッキー)」と呼ばれるのに対し、トーク中心の番組のそれが「パーソナリティ」と呼ばれるのはそのためです。