「ママ、かっこいい!」母親の働く姿を見て

育児と仕事の両立は難しく、「周りの支えがあったからこそ成り立っていた」と話す優香さん。その言葉と、原作でミユキさんがクマさんに伝えた一言が如実に重なる。
“ひとりじゃできないことって、あるんじゃないの?みんなで、なんとかできれば、いいじゃない。そういうのって、ほっとする。いっしょにいれば、なんとかなるって思えるよ。”
ドラマを通して伝えたい「優しさ」や「支え合い」が、優香さんの周りにもリアルにあふれていた。

仕事と家庭の両立は、難しいですよね。私たち夫婦は、仕事柄どうしても時間が不規則になりがちなので、そこのバランスもなかなか難しくて。自分たちだけじゃ、どうにもならなかったです。

朝早くからの撮影があったりすると、子どもに寂しい思いをさせちゃうんじゃないかと気がかりだったんですけど、スタッフの方々が「現場に連れてきていいですよ」と言ってくださって。シリアスなシーンの撮影時は、ご迷惑をかけてしまうので控えたのですが、フェスティバルなどの楽しいシーンの時には、お言葉に甘えさせていただきました。皆さん温かく見守ってくれて、スタッフさんたちが一緒に遊んでくれるような素敵な現場だったので、本当にありがたかったです。

仕事の合間にチラッと子どもを見てみると、すごく真剣な顔でこちらを見つめていたので、幼いながらに雰囲気を感じ取ってくれたのかなと感じました。子どもの吸収力ってすごいですよね。言葉も仕草も、スポンジみたいに吸収していく。

「お子さんが『ママ、かっこいい!』と言っていましたよ」とスタッフさんから聞いた時は、嬉しかったですね。私だけではなく、子どもにとってもいい経験になったと思いたいです。

スタッフさんたちが子どもと遊んでくれるような素敵な現場でした(撮影◎米田育広)

あと、母も何度も子どもを見にきてくれました。母とは昔からすごく仲が良くて、ずっと一緒に暮らしていたんですけど、仲が良すぎて喧嘩になることもあって。一人暮らしや結婚を機に物理的に離れたことで、お互い優しくなれました。近すぎて見えなくなっていたところが見えてきたような感覚ですね。肉体的な部分だけではなく、精神的な部分でもかなり助けられました。困りごとを母に相談したり、愚痴を聞いてもらえるだけですごくスッキリするんです。

子どもを産む前は、母となっている友人たちが、軽やかに子育てしているように見えていました。でも、それは大変な部分が見えていなかったんでしょうね。人ひとりを育てるって、本当に大変なこと。役の中で、ミユキと思春期のマヤがぶつかるシーンを演じながら、これから先、私もこれを経験していくのかと思うと、「母はすごいなあ」と改めて実感します。