――敢えてのご質問なのですが、日々の工程をご説明頂いても宜しいでしょうか。

渋谷 作るものにもよるんですけど。土を山に取りに行くこともありますし、ある程度その精製した土を買うこともありますが、まずそこからでしょうか。山からの土は草の根とか不純物がいっぱい入っていますので、水簸(すいひ)という工程で粘土と他のものと分けます。その粘土をしっかりと乾かしてから、ろくろで成型をしていきますね。

――粘土は何日ぐらい乾かすものなのでしょうか?

渋谷 季節等によってだいぶ変わるのですが、基本的にはしっかりと寝かします。粘りもそうですがアルカリ性では手が荒れますので、その部分を抜くためにちょっと酸化させるイメージでしょうか。そのためにある程度時間が掛かりますので、ちゃんと使えるようになるまでには1年ぐらいは掛かります。半年でやろうと思ったらできないことはないんですけど、良いものを作るには必要な時間ですよね。

ろくろで成型をしてから、ある程度作ったものを削って水分を飛ばして、萩はまず一回素焼きを行います。弊社は内部温度が750度ぐらいで調整をしてまして、まずは7時間ほど焼き、窯から1回出して釉薬掛けをしていきます。その後に本焼きです。1250度の窯に14時間入れて完成です。

――1回の生産としては何日間何個ぐらい作るものでしょうか?

渋谷 やはり作るものにもよります。バランスよく作らないと、窯詰めのときに隙間ができたりするので。デザインと言いますか、作る作業は実際のところ全体の4割程度だったりします。後は削ったり、詰めたり、釉薬掛けもそうですが、6割雑用で、純粋な制作時間は少ないですよね。他の仕事でもそうなのかもしれないですけど。

ろくろを回す渋谷さん。日々完璧なバランスを追求し続ける(撮影:延秀隆)