――貫入の入り方であったり、色目であったりは計算できるものなのでしょうか?

渋谷 ある程度予測は立てています。も焼く前にある程度予想はついてるので、逆にそれが全然違うものが出たときはそれはそれで何かがおかしい。僕らの仕事って非常にサイエンスですよ。アナログな仕事の様に見えますが、釉薬も金属入何グラム入れて、この温度でこの時間でやれたらこういう発色になる、ということが理詰めで理解できないと再現性がなくなってしまいます。

サイエンスっていうと味気ないですけど、やっぱり基本にはそう。理詰めと研究の塊だと思いますね。

――では予想を超えるようなこともあまりないという事でしょうか。

渋谷 登り窯ならあります。登り窯で焼いた時、自分の想像以上のものが出来たってことは時々ありますね。でもそれは僕らが理解してないだけだったりするんです。ちゃんと合理的に火をちゃんと回して、こういうふうになったらこの色が出る…。何回も研究して何時何分にこの量を入れるなど、計算と研究で出るものなんですよ。100回焚いてわからないことも、1000回焚いたらわかることもありますしね。

――こういった研究に関しては研究機関があるわけではなく、各々で行っているのでしょうか?

渋谷 その辺りがもどかしいところです。産業としてもっと発展させることが出来れば、研究所であったり学校だったりが作れますよね。やはり大きな産地にはありますから。

一方で学校を作っても受け入れ先が無ければ発展しません。少し前に茨城県で学校が出来たのですが、やはり東京に近い産地があり、産業として消費が促進できるという点が大きかったように思えます。