――焼いたときに壊れてしまって使い物にならないなど、ロス率どのぐらいになるものでしょうか?

渋谷 だいたい全体の1割ぐらいは出ると思って取り組んでいます。逆に登り窯でするとロス率が本当に高い。自分が満足といいますか「これは!」というのは2割取れたら成功みたいなもので、8割がロスと考えると非常に高いですよね。

――誇張された表現なのかもしれませんが、陶芸家の皆様が叩き割っている様子を見たことがあります。渋谷さんも経験はありますか?

渋谷 残念ながらやっぱりあります。他の方がどれだけ出してるかわかりませんが、色というよりは形が原因の事が多いですね。1250度の窯で焼くと形って変わるものですから。他にも作品を作って1年ぐらいたったときに、去年の作品が凄く恥ずかしくなることもあるんです。その時は良いと思って世に出したものが、1年経つと上手になってるのが当たり前なので、恥ずかしくなってしまう。だから引っ込めてしまいますよね。(笑)

――せっかく作ったのに売らないという事は勿体ないですよね?

渋谷 そうなんですけど、僕はもっといいもの出したらもっと売れると思っているので。
売れなかったモノはそれなりの理由があると思いますから、いつまでも抱えているよりは、もっといいものを出して良い評価を受けてもらった方が今後に繋がるなと。そういったものは結構潰しますね。

割り切っているわけではなくて、やっぱり嫌ですよ、割るのは。だからこそ、そういった事が無いように日々研鑽を積んで出来なかった自分と向き合っています。