社会現象になったバーチャブーム

バーチャブームは社会現象となり、新宿の「GAME SPOT21新宿西口」を筆頭に、有名ゲームセンターが「聖地」と呼ばれ、それぞれの地域のトッププレイヤーたちが遠征して戦う、まるでマンガみたいな状況が生まれていた。

テレビや雑誌などのメディアがそれをこぞって取り上げて、バーチャプレイヤーはまるで芸能人のようにもてはやされ、「トゥナイト」や「浅草橋ヤング洋品店」といった地上波のテレビ番組にも出演。

『ゲーセン戦記-ミカド店長が見たアーケードゲームの半世紀』(著:池田稔・ナカガワヒロユキ/中央公論新社)

彼らを題材にした大塚ギチのルポルタージュ小説『トウキョウヘッド19931995』が新聞で取り上げられるなど、その人気は現在のプロゲーマーたちの比ではなかった。

『スト2』はこの頃もずっと売れ続けているロングセラーだったが、瞬発力では『バーチャ2』が勝っていた。

設置すればまちがいなく稼げるので、どこのゲーセンも欲しがったけれど、『バーチャ2』は発売当初、筐体と基板のセットで約100万円。

販売方法はFAXでの注文(この業界はいまもFAXを使っているところがあるくらい古い体質なのだ)。

注文が来ても、「与信」があるところに優先して販売していく方式だったため、納品してもらえないゲーセンも多かった。