「2015年に『紅白』出場の知らせを初めて受けた時は呆然としてしまいました。デビューから14年。ようやく掴んだ現実が信じられなくて」(山内さん)

一つの夢がようやく叶った瞬間

そんな日々にようやく終止符を打てたのは、09年に『NHK歌謡コンサート』で演歌トリオ「イケメン3」(山内さん、北川大介さん、竹島宏さん)の一人として月に1回、出演できるようになったこと。僕を知っていただける機会がぐんと増えたのです。

注目していただけるようになると、だんだん欲が出てきて、もっと頑張れば僕も『紅白』に出られるんじゃないか、と本気で考えるようになりました。トイレの壁に「紅白出場」という目標を書いた紙を貼ったりしましたが、当然ながら簡単には叶いません(笑)。

でも、思いが強くなるとともに、周りの反応も変わってきたのです。『紅白』に落選すると、スタッフのほうが「はぁ~、残念だったなあ」と落胆するようになって。そのたびに、「みんなが期待してくれている。来年こそは!」と気持ちが強くなりましたね。

だけど実際、15年に『紅白』出場の知らせを初めて受けた時は呆然としてしまいました。デビューから14年。ようやく掴んだ現実が信じられなくて(笑)。水森先生やスタッフたちの顔を見た途端、グワァーッと涙がこみあげてきました。すぐに実家にも電話しましたが、母親の声を聞いただけでもう言葉にならない。一つの夢がようやく叶った瞬間でしたね。

その直後に行った広島と岡山でのコンサートの熱気はすごかったですよ。皆さんの喜ぶ顔を見た時は本当に幸せで、その時に飲んだお酒の味は忘れられません。一度出場できれば十分だと思っていたのに、『紅白』で歌い終わった瞬間に、来年もまた出るぞ! という欲が湧き上がってくるんです。

おかげさまで、昨年で4年連続での出場が叶いました。一年の最後の日に、生放送で自分の歌、そして笑顔を届けられるのは、歌い手として一番の幸せです。