紙バンドバッグ編みもお手のもの

女性の心は、しなっても折れない

私の場合、歌より先にバラエティ番組やCM、ドラマに起用していただいたことで、お茶の間での認知度が高まったんです。まず坂上二郎さん、野口五郎さんとのトリオで始まった『カックラキン大放送!!』の勢いがすごかったですね。

ザ・ドリフターズの『ドリフ大爆笑』では、志村けんさんとバカ殿とバカ姫コントなどをやらせていただきました。撮り直しなしの本番一発勝負だから、心臓はバクバク。その時身につけた自分なりの笑いの《間》が、今も役立っているのかなあ。(笑)

そんななか、絶対に歌手としてヒットを飛ばしたいと思っていたし、そこは自分を信じていた。だからこそ、チャンスをくださった方々との出会いを引き寄せることができたのだと確信しています。

宇崎竜童さん作曲、阿木子さん作詞の「愚図」がヒットしたのは22歳の時。翌年、「LA-LA-LA」 が大ヒットとなりました。そこから「あばよ」「かもめはかもめ」と中島みゆきさんの作った楽曲が続くのですが、実は、私はみゆきちゃんが楽曲を提供した歌手の第一号なのです。

ある日、飛行機の中でニューミュージックというチャンネルを聴いていたら、「アザミ嬢のララバイ」というみゆきちゃんのデビュー曲がかかっていて、大好きな世界観だなとある種の興奮を覚えました。そして隣にいたマネージャーに「東京に帰ったら中島みゆきさんに曲を依頼してほしい」って伝えたんです。あの時の自分の感覚と行動力を褒めてあげたい。

それまで研ナオコは明るくて楽しい人だというイメージだったと思うんです。でも私としては、明暗のギャップを狙ってというより、そもそも「どんなに明るく振る舞っている人だって、悲しいこともあるんだよ」ということを表現したかった。「愚図」もそうですが、それをみゆきちゃんは、見事に曲の中で表現してくれていました。

私がみゆきちゃんの作ってくれた歌から一番強く感じとったのは、女性のしたたかさ。男性と違って女性の心は、どんなにしなっても決して折れない。「窓ガラス」という歌にしても、単に悲しいだけじゃない、悲しみを乗り越えれば、一皮むけた大人の女になれるという希望を秘めているんですよ。

歌がヒットしたことは本当に嬉しくて、大きな歌謡賞もいただきました。けれど一番じゃないといやだと思ったことはありません。二番くらいがちょうどいい。だって、頂点を極めたと勘違いした途端に、堕落しちゃうと思うんです。

いつも支えてくれる夫との食事は楽しい。「いただきま~す」