安田 その頃、私は結婚を機にアメリカに住んでいて、ジュリアード音楽院で学ぶうちに、世界に出ていくためには自国の歌をもっと勉強しなければという気持ちが高まっていたの。帰国のタイミングだったこともあって、母からの姉妹共演の提案に、「これだ!」と思ったわ。

由紀 クラシックの発声を学んできたお姉ちゃんにとって、マイクを使わないのは普通のこと。一方、テレビで歌ってきた私はこよなくマイクを愛してた(笑)。最初は、お互いの違いに戸惑ったわよね。

安田 唱法も活動してきた世界もまったく違うのだから、しょうがないわ。

由紀 覚えてる?ザ・ピーナッツ、こまどり姉妹、ピンク・レディーと、デュオの曲を練習したことがあったでしょう。でも、お姉ちゃんはハンドマイクに慣れていないから……。

安田 ピンク・レディーの「UFO」を振り付けしながら歌ったら、マイクを持っているほうの手を上げちゃった。(笑)

 

お姉ちゃんの背中を追いかけて

由紀 それにしてもお母さんは、意識的に姉妹のどちらにも肩入れせず、うまく調整してくれていたなと思うわ。たとえばふたりで活動し始めた頃、メディアに多く出ていた私のほうが知名度は高かった。

だからコンサートで各地を回ると、私だけホテルでセミスイートの部屋が用意されているなんてことも。そんな時はすかさず、「この部屋は私が使います。あなたたちはシングルを使いなさい」って。

安田 姉妹の扱いに差が出ないよう、関係がこじれないようにと気を配ってくれていた。

由紀 母の気配りがあったから長く活動を続けてこられたのは間違いないわね。そうそう、私たちは2人姉妹だと思われがちだけど、一番上に兄がいる3きょうだい。お姉ちゃんとは5歳違い、兄とは10歳違いで、年の差が少しあるのよね。

安田 そのこともあって、あなたが生まれた時、父も母もかわいくて仕方がなかったみたい。一方、とても頭がいいお兄ちゃんは両親に一目置かれていたでしょ。真ん中の私はふたりに挟まれて、いつも「あら、いたの?」って疎外感があったのよ。