突然届いた手紙に感激して
投稿を始めて3年目のある日、新聞社から電話がかかってきました。私宛に読者から手紙が届いたので転送すると言います。
半年前、隣の市の文具店で偶然ボンナイフを見つけ、昔流行ったものだが、まだあるのかと驚いて購入しました。そのことを書いた文章が新聞に掲載されたのです。
数日後、私の手元に届いた手紙の送り主は老婦人でした。自分もボンナイフが欲しくて長年探しているが見つからない。そんな時、ボンナイフについて書かれた投稿が目に入り、手紙を書いた。ボンナイフを売っている文具店を教えてください、とありました。
早速返事を書いて出したところ、半月後、老婦人から丁寧なお礼の手紙が届きました。こんな私が書いたものを読んでくれる人がいるのだということが身に沁みる経験でした。今でもその手紙は文箱に大切に保管しています。
さらに2年後、別の新聞の読者コーナーに、幼少の頃の手袋の思い出の話が掲載されました。こんどは、プレゼントが私宛に届いたと新聞社から電話が。
後日届いた荷物を開けてみると、毛糸の手袋が2つ入っています。添えられていたのは、私の投稿を読んで感動したという大阪の手袋職人からの手紙。センスの良い手袋へのお礼の手紙を出しました。冬になるとその手袋をはめて、遠い大阪の人はどんな人だろうと思いを巡らせます。
投稿にはさほどお金はかかりませんし、自分ひとりでできることなので、人間関係に悩まされることもありません。あの日、あの時、美容室で手にした雑誌をきっかけに17年間投稿を続けてきたけれど、これをしていなかったら、今頃何をしていたのでしょう。
投稿という扉を開いて、私は翼を得たような気がします。