毎晩仏壇に向かってお経を上げる

消えない悩みは日記に書いて

20年前、私が83歳のときに良英さんは亡くなりました。とにかく仕事熱心で、子どもにも親にも慕われる豪快な先生でしたねえ。お酒が好きで、毎晩家にお客を大勢連れてきては賑やかに飲むんです。

その姿が目に焼きついてるから、今も朝晩、大好きだった日本酒を杯に入れて供えて、大きな声でお経を上げるの。寝る前は、枕元の写真に「おやすみなさい」とあいさつして。もしかしたら、「お前は、ちとしゃべりすぎじゃ。うるさい」とぼやいているかもしれませんな。(笑)

亡くなる前、良英さんは、「子どものことは気に病まんでええ」と言ってくれました。そのとき初めて、ああ、この人も一緒に悩みを背負ってくれていたんだとわかって。

でもね、子どもを授かれなかった申し訳なさは、どうしても消すことができません。自分でもいい加減、吹っ切っていいと思うんだけど。これだけは、一生引きずるんでしょうな。

でも、しかたがナイチンゲール!こんなふうに私、悲観的なことも笑いに変えるんです。毎晩つけている日記にも、ほら、「雨だから来る人もナイチンゲール!」って書いてあるのよ。

心の落ち込みは魔物です。落ち込みそうになったら、早めに自分を助けてあげないと。日記をつけるのも、自分を助ける手立て。ちょこっと悩みを書くと、スーッと心が落ち着くの。

年をとったら、一日が長いと言う人が多いけれど、私にはあっという間。朝食に味噌汁をこしらえ、畑仕事をして近所の人とおしゃべりに花を咲かせていたら、もう日暮れです。最近は週3回デイサービスに通っているので、退屈している暇なんてないの。

一昨年に2回、昨年も1回、体調を崩して入院しましたが、姪や周りの人たちに支えられて、こうして元気にひとり暮らしができています。ほんまにありがたい。感謝感謝です。

年寄りになったら受け身になって、何でも人にやってもらうのが当たり前と思いがちだけど、それじゃいかんと思うの。いくつになっても、自分でできることは自分でやりたいんです。