そういう意味では、アン家のきょうだいはみんな、距離の取り方が上手なのだと思います。仲はいいですけど、必要以上に干渉し合うことはありません。誰かが放っておいてほしいオーラを出していたら時間を置くけれど、一方で、誰かが助けを求めてきたら、全力で支えます。

私たちが付き合ううえで大事にしているのは、「感謝を忘れない」こと。親しき仲にも礼儀あり、です。「ごめんなさいとありがとうは、素早く言うように」というのが両親の教育でもありました。

そしてもう一つが、「苦手なことを中途半端に手伝うよりも、それぞれが得意分野を率先してすること」です。たとえば、私は不器用で、料理を手伝おうとすると、ぐちゃぐちゃにしちゃうんですよ。

でも、買い物の段取りは上手。足の速さにも自信があります(笑)。だから昔から、姉が料理を担当し、私は買い出し係、整理整頓が上手な妹は片づけ係、とうまく分業してきました。

今でも何かが起きたら、きょうだいで集まって「それは僕がやる!」「これは私で!」と、挙手制で担当を決めています。そして、任せたことには敬意を払い、感謝の言葉は忘れない。それがアン家のルールです。

一方で、たとえきょうだいであっても、自分自身の幸せを大事にしていいと思います。わが家はみな、幸運にもお互い自立しましたが、きょうだいに依存されて、自分の生活が脅かされると感じている人もいらっしゃるでしょう。

その時は、思い切って糸を切る覚悟で離れてもいい。大人になったら、人生の選択には自分で責任を取ること。家族だからすべてフォローしなくてはならないということではありません。

5人きょうだいの中で、子どもがいるのは兄だけです。今後はきっと、きょうだいの病や介護問題も出てくるでしょう。どんなトラブルが起きた時も、みんなで話し合いながら乗り越えていきたい。それぞれが心地良く絡んでいける関係でいられるといいと思っています。