父や母の介護中に、一番頼りになったのが姉です。一つ上の姉とは、小さい頃には喧嘩をすることもありました。というより、私が一方的に姉を羨ましがっていただけなのですが。

実際には姉のほうがずっと大変だったと思います。親や周囲の大人から、「お姉ちゃんでしょ」と何かと言われたり、私に自分のモノを譲らなければならなかったりと嫌なことも多かったはず。それなのに母が亡くなってからは、ずっと母の代わりをしてくれました。本当に姉には感謝していますし、一生頭が上がりません。

母はよく、子どもたち一人ひとりの性格を見極めて、「あなたにはきっとこれが向いている」と話してくれました。私は小さい頃に口に怪我をしてしまい、笑うと唇がめくれ上がってしまうのがコンプレックスだったんです。

それでも母は、「ミカちゃんは手足が長いから、モデルになれるよ」と。母が褒めてくれたことで自信がつき、今のキャリアがあります。不思議なことに、全員が母が見抜いた特技を活かして今、働いているんですよ。母がしっかりと導いてくれたのでしょうね。

父には「どんな人も、誰かに身体を傷つけられるような存在ではない」と、自分の尊厳を守る大切さを教わりました。また「将来のために資格を取りなさい」とも。その教えに従って、みんなさまざまな資格を取って、仕事にしています。

親が早く亡くなったゆえの苦労はありましたが、視点を変えれば、私たちきょうだいは、尊敬している親が老いていく姿を見ることはありません。長く一緒にいると、親が変わっていくのがつらいことも絶対あるはず。家族との関係は、どちらがつらいかと比べることではないのだと思います。