必要なのは、今! ここで!私の子どもが保育園に入れるかどうか確約されることなのだ(写真はイメージ。写真提供:photoAC)

仕方がないので役所の人に聞くと、彼はすまなそうに、「えっと、ごめんなさい。去年のデータをみる限り、お住まいのエリアで5月以降で空きがあった園はゼロです」と言った。

ゼ・ロ・で・す!

想定内だが想定外の言葉に、私は白目になった。

役所の人は慌てて5月以降に空きのあったいちばん近くの保育園を探してくれた。それは家から歩いて20分のところにある、医療ミスによる死亡事故が瀕発し、地域の人々に「死に山病院」と揶揄される病院の中にある保育園だった。

このままでは「死に山病院」に毎日我が子を送らなければならない。
縁起が悪すぎる。

入れるだけでもありがたいと思え、と言われるかもしれない。が、これは縁起だけの問題ではなかった。「死に山病院」は駅からも遠く、交通手段が徒歩かタクシーしかない。0歳児は自転車に乗せられないため、炎天下でも氷点下でも、雪が降っても嵐でも、歩いて通わなければいけないのである。Googleマップで調べると(私はGoogleマップのレビューに依存している)、保育園の口コミ評価は星1だった。

「すみません。コロナ禍ということもあって出生率が低下しているんで、来年度はもう少し預ける人が減るかと思うのですが」

役所の人はぺこぺこしながらそう言ったが、まったく希望が見えなかった。

私は占いレベルの発言が聞きたいのではない。必要なのは、今! ここで!私の子どもが保育園に入れるかどうか確約されることなのだ。

認可がダメなら無認可で、と近所のベビーホテルに電話したが、満員でキャンセル待ちだという。何人待っているのか聞くと「10人です」と絶望的な答えが返ってきた。