壮絶すぎる保活事情を知人・友人たちから耳にしていた私にとって、保育園探しは恐怖のイベントであった(写真はイメージ。写真提供:photoAC)
都会生まれ、都会育ちの35歳。仕事も軌道に乗っている。今の時代、この社会で子を産むなんて現実的ではない。そう信じてきた作家の小野美由紀さんに、突然湧いてきた「子どもを持ちたい」という欲望。妊活を経て妊娠し、つわり、出生前診断、夫婦の危機と数々の問題と向き合う中、妊娠5か月の小野さんをさらに悩ませた問題は――。

恐怖のイベント《保育園探し》

この時期に私を脅かすものの中に、保育園探し、すなわち「保活」があった。

2021年当時、とりわけ都市部において「保活」は多くの働く母親にとって重要なトピックだった。

 

「産後2ヶ月で復帰するために、妊娠中に50園も見学して回った」

「保育園が見つからず、私しか担えない重要なポストについていたので、育休を取ったていにして家で面倒を見つつリモートで働き続けた」

「近所の保育園が全滅だったので夫の職場の近くの保育園に入れ、私しかお迎えにいけない日は往復一時間半かけて迎えに行っていた」

 

などの壮絶すぎる保活事情を知人・友人たちから耳にしていた私にとって、保育園探しは恐怖のイベントであった。