タテマエは言わない。少ない言葉でも、本音ならきちんとわかり合える
アタシが仲良くなる人って、だいたい不器用な人が多いですね。仕事に関しては一流の人ばかりですけど、普段はあまりしゃべらないし、シャイで人と目を合わせられないような人が多いかな。
亡くなった志村けんさんなんか、まさにそんな感じ。テレビで見るけんちゃんと普段のけんちゃんとのギャップといったら……そりゃあアナタ、驚きますよ。
アタシとも目を合わさず、伏し目がちにボソボソ話す。多弁じゃないのよ。アタシは飲まないけれど、たまにそういう席でご一緒したときなんか、ニコニコしながらタバコ吸って焼酎飲んでいるだけ。
でも、たまにしゃべる一言が重い、っていうのかな。言葉を飾らない。ホントのことをズバッと言う。アタシもそう。だからあまりベラベラしゃべらない。
梅沢富美男さんもそんな感じ。けんちゃんと梅沢さんは二人ともシャイだから、共演したくてもお互い声をかけられないの。恥ずかしがりやの子どもみたいなところがある。それでアタシが引き合わせたわけ。
それでも二人だけだと話をしない……世話が焼けるったらありゃしない(笑)。だからアタシが扇(おうぎ)のカナメの役割をするんだけど、ちょっと話すだけでお互いにわかり合える。
本音で話すからでしょうけど、素敵な関係だと思うわ。その逆が政治家の答弁ね。なんでかわかるでしょ。皆まで言わないけど(笑)
※本稿は、『70歳、すっぴん人生』(Gakken)の一部を再編集したものです。
『70歳、すっぴん人生』(著:研ナオコ/Gakken)
古き良き昭和の時代を駆け抜けた歌手、タレントの中でも屈指の存在感を誇り、近年においてはYouTubeでも20万人以上のフォロワーに注目されている研ナオコ。2023年に満70歳を迎える彼女が提案する、これからの人生を楽しむコツが満載の一冊です。