酒を飲まずにステージに立てた、お笑いの舞台

介護の仕事を通して、他者に必要とされる喜びを見出したタブレット純さんは、その後さらなる転機を迎える。浅草の東洋館でお笑いの舞台に立ったのを機に、はじめて抱いた前向きな思いとは。

一時は「やめる」と決めた歌手の仕事も、結局なんだかんだで依頼は絶えなくて。「やめたんです」と言っても、「何とか出てほしい」とライブハウスからお誘いがあったりしたので、介護の仕事と並行してやっていました。

ちょうどデイサービスにバンドマンの人がいて、その人とバンドを組んだりも。そうしているうちに心身が元気になり、ステージも自然と楽しめるようになっていきました。そんな最中に、浅草の東洋館でお笑いの仕事に出会い、今のマネージャーにスカウトしていただいたんです。

はじめて酒を飲まずにステージに立てたのは、お笑いの舞台でした。最初こそ飲んでいたんですけど、ある日突然、「お笑いの舞台では、ありのままの自分で笑われてもいいんじゃないか」と思えるようになりました。

歌手としてはまったく日の目を見なかったんですけど、お笑いの仕事ではじめてテレビにも出られるようになって。さすがにテレビに出る時は酒は飲めないと思って、そのあたりからいつの間にか飲まない習慣ができていました。

一時は酒のせいで朝か夜かもわからなくなっていたので……今思うと間違いなく依存症だったと思います。仕事の面だけではなく、そういう意味でもお笑いに救われたところがありますね。