夫に傷つけられた自尊心を再び取り戻させてくれたのが、ミツオさんの言葉だったのだ(写真はイメージ/写真提供:photo AC)
年を重ねるほど、恋愛とは縁遠くなりがちだ。しかし、頼れる伴走者を見つけたり、淡い恋心を抱いたり――人生の折り返し地点を過ぎてから、幸せを見つけた人がいる

同級生の意外な告白で自尊心を取り戻して

約2年前、小学校の同級生のミツオさんと再婚したサワコさん(61歳・仮名=以下同)。彼と再会したのは、子どもが自立したのを機に初めて出席した、小学校の同窓会だ。サワコさんがビュッフェで料理を選んでいると、突然ミツオさんから声をかけられた。

「当時、君に助けられた者です。転校初日、人見知りの僕をドッジボールに誘ってくれたおかげで、クラスのみんなと仲良くなれました。君は、僕の救世主です」と言う。

「驚きました。申し訳ないけれど、当時の彼の印象は薄くて、自分がそんなことをした記憶もなかった。でも、その言葉を聞いてとても嬉しくなりました」

サワコさんが32歳で結婚した相手は、眉目秀麗で仕事も完璧。しかし蓋を開ければ女癖が悪く、趣味に散財して借金をつくるようなダメ男だったという。元夫は浮気がバレるたび、「デキの悪い妻であるお前の責任だ」とサワコさんを罵った。

結婚11年目に離婚したが、傷つけられた自尊心は回復しない。それを再び取り戻させてくれたのが、ミツオさんの言葉だったのだ。

「その日は、ほかの友達そっちのけで彼とおしゃべりして。本気で笑えたのは、約20年ぶりでした。LINEの交換を申し出たのは私のほうです。頭が禿げ上がりお腹も出ていた彼は、元夫と出会ったときのようなトキメキは一切与えてくれない(笑)。けれど、一緒にいてホッとしたんですよ、ものすごく」