「やめるのは2人でがいい!」溢れる涙が止まらず

私自身が反省させられたことも少なくありません。品物を間違えて買ってきた和夫を、「何で間違えるの!」と叱ったのですが、和夫は「何でかな」と言ってから間を置いて、「頭が悪いから……」と答えたのです。私は「しまった」と大後悔。

また別の日には「大根」とメモを持たせて買い物に行かせたら、持ち帰ったのは、下半分がぐにゃっと曲がった細長い大根でした。「まっすぐなものもあったでしょ」と不満を伝えると、「畑が悪い!」と澄まして答えたのです。

そういえば小学校4年生の頃、長男と和夫と3人で「和夫とお店ができないかなぁ」「お店の名前は何がいい?」と話したのを思い出します。「ROOT」という店名には、いつか和夫が社会に根を下ろし、ちゃんと生きていく力がつきますようにと、夢を託したのです。

それから34年が過ぎ、現在和夫52歳、私75歳という年齢に。2020年から世の中はコロナ風が吹き始めました。5回いらしていたお客さんが3回に、3回が1回にと、お会いする回数も自粛ムードへ。横浜に住む長男が消毒液などの応援物資や「ランチあります」ののぼりを送ってくれました。