熟年新婚夫婦の風水狂想曲

開運というと思い出すのは、5年前に引っ越した時のこと。40代半ばで結婚を決意したのは、今の夫が小さいけれど名の通った会社に正規採用されたから。

少し奮発しておしゃれな一軒家を借り、仕事がうまくいくようにと風水の本を熟読。すっかりハマってしまいました。玄関マットはフチがしっかりしたものを。リビングにはひまわりの絵。表札は黄色い縁取りの特注品です。窓の向きとカーテンや庭の花の色にも細心の注意を払いました。

さてその結果は──。1年半で夫の勤務先は経営破たんし、あえなくリストラ。風水も凝りすぎると思い入れがハンパなくなり、それだけで運を開こうとしてしまったのかも。家賃が高くて熱効率の悪い家から、今は身の丈に合ったマンション暮らし。掃除をきちんとして空気を入れ換えて、地に足の着いた暮らしをしています。(英会話講師・50歳)

 

センスと面子の板挟み

長男に子どもが生まれることになりました。待望の初孫、しかも男の子らしいとのこと。赤ちゃんに名前をつけてくれるよう、息子から夫に嬉しい依頼が来ました。ですが夫は「荷が重い」と腰が引けてしまい、檀家となっているお寺のお住職に名づけを頼みに行ったのです。もちろん、数万円ほどをお包みして。

数日後、お住職から達筆で名前をしたためた命名紙を受け取りました。私たちの希望通り、前途が開けそうな漢字が使われていて、大満足。

さっそく息子夫婦に送ったものの、どういうわけか何も言ってこない。しばらくして、ついに「生まれた」との連絡が。大喜びで息子の家に駆けつけました。しかし、リビングの壁にはお寺から届いたのとはまったく別の命名紙が掲げてあるではないですか。

なんと嫁の「この漢字、センス悪すぎ〜」の一言で、あえなく却下されていたとのこと。住職にどう説明しようかと、夫は頭を抱えています。(主婦・65歳)