あの頃着られなかった服は古着で楽しむ
ここ数年は古着に凝っています。古着屋に通い始めたのは60歳を過ぎてから。
きっかけは、ある日次男のファッションを見ていて、「なかなかいいなあ。どこで買ってるんだよ」と尋ねたところ、古着屋だと。
私が「古着ってトレーナーとかジーパンばかりだろう。そういうの、俺はダメだなあ」と言うと、「今は違うんだよ」と次男。そして彼の行きつけの三軒茶屋の古着屋に連れていってもらいました。
そこには、私が芸人として多忙な時期を過ごしていた80年代に流行っていた、ジャンポール・ゴルチエやヴェルサーチェ、グッチ、コム・デ・ギャルソン、メゾンマルジェラといった派手めなブランドがずらり! 実は当時私は太っていて、それらのブランドを着られなかったのです。
私はすっかりその店にハマって馴染み客となり、80年代以降に生まれた若い子たちに交じって、月に1、2度買い漁っています。
店員の若い男性が、私が以前買ったものをよく覚えてくれていて、アドバイスしてくれる。彼はとても物知りで、新しいブランドを教わることも多いです。
そうして私の体形に合いそうな男性のSサイズや女性ものを買っては、家に帰って持っている服とのコーディネートを考えて楽しむ。
ものにもよりますが、80年代当時の価格の5分の1くらいだと考えれば、安いもんでしょう。これもまた、あの時やりたかったことを、実現していることになるのでしょうね。
※本稿は、『老いては「好き」にしたがえ!』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。
『老いては「好き」にしたがえ! 』(著:片岡鶴太郎/幻冬舎)
人生を充実させるコツは、心の赴くままに行動すること――。モノマネでブレイクして以降、役者をベースに、ボクシング、絵画、ヨガの世界でも活躍する著者。還暦を機に離婚した現在は、「60代は体が元気に動く最後の時間。漫然と過ごすのはもったいない」と終活には目もくれず、自分のしたいことだけに情熱を注ぐ。常に挑戦をしてきた経験から、「何かを始めるのに年齢やセンスは関係ない」と断言。やりたいことの具体的な見つけ方から、自身も苦しんだ「男の更年期」の乗り越え方まで、老いに負けない極意がここに!