世間的成功という価値観

確かに成功というものは、自分の存在を肯定する大きなきっかけとなる。生きることの意味という漠然とした不安を克服する術にもなりうる。だからといって、果たして自らのキャパシティの大きさを誇張したり、偽ってまで得る価値のあるものなのだろうか。

(写真=ヤマザキマリ)

真の品格や資質が備わっている人にはブランド品の装飾などが必要ではないように、自分という人間の“等身大”を見据えつつ、慎ましくも懸命に生きるなかで幸せを感じられている人には、世間的成功という価値観などおそらく必要ない。

そんなことを、この2人のハーバードの学者のあり方を通じて再確認できたように思う。


歩きながら考える』(著:ヤマザキマリ/中公新書ラクレ)

パンデミック下、日本に長期滞在することになった「旅する漫画家」ヤマザキマリ。思いがけなく移動の自由を奪われた日々の中で思索を重ね、様々な気づきや発見があった。「日本らしさ」とは何か? 倫理の異なる集団同士の争いを回避するためには? そして私たちは、この先行き不透明な世界をどう生きていけば良いのか? 自分の頭で考えるための知恵とユーモアがつまった1冊。たちどまったままではいられない。新たな歩みを始めよう!