賃貸の家を空っぽに

次は賃貸の家を空っぽにしなければならない。よくこれだけ詰め込んだなというほど、物が溢れる3LDK。高齢者二人暮らしなのに、なぜこんなに食器がいるのか。おまけに、足の悪い父が使えるはずもないランニングマシンがリビングに陣取っている。

いったい処分に何十万かかるのか?想像するだけで怖い。友人の甥が遺品整理の会社に勤めていると聞き、頼んでみた。見積もりにきてくれた彼も、あまりの物の多さにびっくり。それでも相場よりは安く引き受けてくれた。月末に引き取りをお願いして、それまでちょこちょこ実家の整理に通う。

プラスチックトレイが押入れから雪崩のように出てきて、無茶苦茶だった。母は自分のルールで整理していたのだろうが、ゴミでしかない。

当日は8人もの作業員が来てくれた。朝の8時過ぎから昼の2時過ぎまでかかり、物だらけの3LDKは綺麗に空っぽに。本当はこんなに広い部屋だったんだ、としみじみ見て回る。大家さんにカギを返して、私の仕事はひとまず終了――。

親の生き方を見て、私はこうはなりたくないと思った。早速近くの葬儀社が主催する終活セミナーに申し込む。エンディングノートをもらえるらしいので、まずはそこから始めてみようと思う。

叔母のSOSから2ヵ月弱。ジェットコースターのような日々だったが、両親の施設入居、家の片づけまで無事にやり終えた。我ながらあっぱれである。