もう1つが、「周りに迷惑をかけたくない」ということ。自分の世話をしてくれる人に、金銭的、時間的、また精神的な負担をできるだけかけたくないと望む人が多いのです。
この「迷惑」とはどの程度のものなのでしょうか。たとえば余命半年と言われた時に、元気なまま半年後にぽっくり亡くなるということはなくて、途中から寝たきりになったり、言葉を話せなくなったりします。
当然、排泄の処理や体を拭いてあげるといった介護が必要になる。こういったケアを「迷惑」とするのか、その後意識がなくなってからも長引くケアを指すのか。自分の考え方に沿って、決めておく必要はあるかもしれません。
特に考えておかなければいけないのは、認知症の問題でしょう。たとえば、認知症の人が末期がんを患った場合、どのような治療を選ぶかを自分で決めることは困難です。一番望ましいのは、認知症を患う前からもしもの時について考え、意思を示しておくこと。そうなると、やはり誰にとっても「先の話」では済みません。
意思表示は事前指示書で
自分の意思を伝えるための文書の書き方については、かかりつけ医や、終末期医療に詳しい病院に相談してみるといいでしょう。いきなり「将来どうやって亡くなりたいか」と聞かれてスラスラ答えられる人なんていませんから。
また、日本尊厳死協会が提供している「リビング・ウイル(もしもの時の選択に関する意思表示をしておく事前指示書)」のひな形も参考になるかもしれません。