「あんたに話してもわからない。店長を呼べ」

生活 昔は子育て中のママやおばあちゃまなど、女性のほうが言い募るうちに感情的になることが多かったです。でも、電話を代わった夫が「ご迷惑をおかけしました。商品交換でけっこうです」と言ってくださり、それで話が終わった。ところが最近は、夫が出てくるとさらに話がややこしくなる傾向があります。

百田 わかります。店内で赤ちゃんが調味料の瓶をガシャガシャ打ちつけて遊んでいて。そばにいる母親が止める気配がないので、瓶が割れたら大変だと思って、「危ないから気をつけてね」とやんわり言ったら、「割れたって、弁償するからいいじゃない。なんでそんなことイチイチ言うのよ」と騒ぎ出した。すると、店内にいた夫が飛んできて。奥さんをなだめてくれるのかと一瞬ほっとしたら、「なんだ、おまえはッ!」と私を怒鳴りつけ、さらに翌日、夫が本社に電話をしてクレームをつけたそうです。

呑屋 飲食店の現場でも最近は、60過ぎから団塊の世代あたりの男性が、一番タチが悪いですね。こらえ性がなくて、どうでもいいようなことでいちいち文句を言ってくる。

生活 たぶん誰も持ち上げてくれないから、心が満たされないんですよ。家にも居場所がなくて。ある程度の経歴があって引退されたと思われる男性からの電話対応には、配慮が必要です。なかには自分がその商品の専門家だと、こちらに教えてくれようとしたり。「余計なお世話です」とは言えないので(笑)、「参考になりました」などと相槌を打ちながら聞いてさしあげると、「勉強になっただろう」と言って電話が切れる。そういう方は若い声の人が対応するより、ちょっと年配で、肩書が上の人が対応すると満足なさいます。

百田 肩書が大事ですね。私は若くして店長になり、しかも女なので、アルバイトだと思われて「あんたに話してもわからない。店長を呼べ」とよく言われました。でも「私が店長です」と言うと、急に向こうの話し方が変わることもある。

生活 皆さん、自分を特別扱いしてもらいたい。だから女よりも男、あるいはちょっと偉い人に対応してもらいたいのでしょう。