突然はじまった親の介護に、暮らしが一変してしまったという子ども世代も多い。
生活破綻を避けるための知恵を専門家に聞きました。(構成=古川美穂)
生活破綻を避けるための知恵を専門家に聞きました。(構成=古川美穂)
《 相談 》
私がパートをやめて、自宅で介護すれば節約になる?
近県で一人暮らしをしていた母親が、脳梗塞で突然倒れて入院。幸い一命は取り留めたものの、半身に麻痺が残るうえ、少し認知症もはじまっているようです。現在母は病院でリハビリ中ですが、退院後は今までのように一人で生活できそうになく、どうすべきか悩んでいます。
私たち夫婦も母も、あまり経済的な余裕はありません。うちは大学生の子どもへの仕送りや住宅ローンの残りが。夫は薄給なので、私がパートで働き補っています。
でも有料老人ホームは高額だし、費用の負担が少ない特別養護老人ホームは待機する人が多いと聞きます。金銭的なことを考えた場合、やはり私が仕事を辞めて、自宅で面倒をみるしかないのでしょうか。(52歳・パート)
私たち夫婦も母も、あまり経済的な余裕はありません。うちは大学生の子どもへの仕送りや住宅ローンの残りが。夫は薄給なので、私がパートで働き補っています。
でも有料老人ホームは高額だし、費用の負担が少ない特別養護老人ホームは待機する人が多いと聞きます。金銭的なことを考えた場合、やはり私が仕事を辞めて、自宅で面倒をみるしかないのでしょうか。(52歳・パート)
●親が何を望んでいるか確認を
介護に関するご相談を受けるときに感じるのが、みなさん根本的な部分を置き去りにしがちということ。つまり「子が親にどういう介護をしてあげたいか」と「親はどんな介護を受けたいか」。これを家族で話し合っている方が本当に少ないのです。
経済的な面でいうと、「施設介護」か「在宅介護」かで大きく金額が変わります。施設は有料老人ホームのほかに、もう少し安い軽費老人ホームやグループホーム、また介護保険の使える低価格の施設として特別養護老人ホーム(原則、要介護3以上)や、介護老人保健施設(要介護1以上。原則、入所期間は3〜6ヵ月)などがあります。
特養は数年待ちといわれますが、将来を見込んでの仮予約なども多く、実際は公表されている待機者数の3分の1ぐらいのケースも。地域によってはスムーズに入れることもあります。
しかし何よりまず、親の望んでいるのが在宅介護なのか、それとも施設へ入りたいのかを確認するのが先決。お母様は認知症とはいえ、初期段階のようですね。短期記憶などに障害はあっても、お気持ちを話すことはできるのではないでしょうか。