『大学職員のリアル――18歳人口激減で「人気職」はどうなる?』の著者・倉部史記氏

大学職員といえば就職市場・転職市場の「人気職」として、「9時5時で年収1000万円」などと、さまざまな噂が飛び交っています。ところが、新規学生の募集を停止する短大や女子大がちらほら出てきたり、学生の薬物汚染をはじめとした不祥事があいついでいたりするように、大学は必ずしも平穏な職場ではないようです。

そこで、話題の書『大学職員のリアル――18歳人口激減で「人気職」はどうなる?』の著者・倉部史記さんに、いま大学職員の職場を襲うさまざまな激震について見解をお伺いしました。

学生の起こした不祥事への対応

――学生の不祥事に対し、職員はどのような対応を迫られるのでしょうか?

私が先日、大学の広報担当者を対象にしたセミナーで講師を務めた際、不祥事への対応について関心を寄せる参加者は多いようでした。

運動部やサークルの所属学生が起こした問題はすべて大学の責任かと言えば、実際にはケースバイケースです。

日大アメフト部のケースは、大学が運営する学生寮の中で起きた問題であることから、大学がきちんと組織的に対応すべきですね。こうした場合、競技部の運営に関わる教職員が事態の調査や学生への指導にあたるのはもちろん、学生支援部門の職員が学則に則って学生に何らかの処分を行うこともあります。理事長や学長をはじめとするマネジメント部門に情報を上げ、その議論や決断をサポートするのも職員組織の役目です。また不祥事が起きた際は、広報部の職員たちが社会に対する情報発信や、メディア対応に追われることもあります。

「複数の大学の学生で構成されるインカレサークルの懇親会でセクハラが起きた」など、個々の大学がどこまで指導に関わるかを明確に決められないケースも少なくありません。新入生に対して注意喚起をする、ハラスメント防止の啓発活動を行うといった活動は多くの大学が行っていると思いますが、学生の生活すべてに大学が責任を持てるわけはありません。問題が生じた場合、大学としてお詫びのコメントを出すケースもあれば、出さないケースもあります。起きた問題の内容を学則に照らし合わせて、必要なら停学などの処分をする……といったところでしょうか。大学側が判断に迷うことも多いのではと思います。

最近ではメディアやSNSなどで批判を受けることもあり、厳密には大学の管理下で起きていない不祥事だとしても、学生が問題を起こして大学名が報じられた場合、広報部を通じて何らかのコメントや対応を発表するケースが増えているように思います。