9月30日、政府の有識者会議が少子化対策として提言した男性の育児休業義務化に対し、中小企業の7割が反対しているという調査結果が出た(日本商工会議所調べ)。2019年1月に長男が誕生した小泉進次郎議員が、育休について「考えている」と答えて話題となり、同年10月13日号の婦人公論では男性の育児休暇についてのルポを掲載、小泉氏の動向にも注目していた。掲載から1年、小泉氏が取得した育休は公表されているところでは12日程度。社会全体でも男性の育児休暇取得の壁はまだ厚いままだ。今回の調査結果を受け、当該記事を再掲載する(取材・文=樋田敦子)
会議室で罵倒。申請書は破かれて
東北地方に住む会社員の正さん(39歳・仮名=以下同)は、7年前、第1子誕生に合わせて育休を取ろうとした。妻が職場でマタハラ(マタニティ・ハラスメント)に遭い、そのストレスで2度流産した末、やっとできた我が子のために育児がしたかった。
会社に育休制度はなかったが、勤続11年、法律で認められた権利だからと申請した。ところが役員が集まった会議室で罵倒され、申請書は破かれてしまう。そして突然の転勤が言い渡された。
「結局休んだのは出産前後の3日間だけでした」
その後もたび重なるパワハラが続き、正さんは会社を辞めた。
男性の育児参加を推進する啓蒙活動をしてきた「NPO法人ファザーリング・ジャパン」の代表理事、安藤哲也さんは、次のように話す。
「父親がどんな状況であれ、育休を取りたい人が取れる社会にしたいと、これまで活動を続けてきた」
安藤さんによれば、今は男性の育休取得の「第3の波」が高まってきているという。第1の波は、「イクメン」が流行語大賞になった2010年。第2の波は、宮崎謙介元国会議員が育休取得宣言をした3年前。これは本人の不倫騒動で逆風に転じてしまったが……。
「厚生労働省の発表では2006年度の男性の育休取得率が0.6%、18年度が6.16%で、約10年間で10倍に。進次郎議員が取得することで、さらに増加するといいなと思います」(安藤さん)