1989年に漫画家デビュー、その後、膠原病と闘いながら、作家・歌手・画家としても活動しているさかもと未明さんは、子どもの頃から大の映画好き。古今東西のさまざまな作品について、愛をこめて語りつくします!(写真・イラスト◎筆者 舞台写真 撮影:田中亜紀)
夢を叶えるのは実に困難
もしあなたに夢があっても、家庭環境に恵まれていなかったら、どうする?
日本ほど教育にお金のかかる国はない。夢を持っても、それを叶えるための道筋を知り、諦める人は多いだろう。逆に親の過剰な教育熱に押しつぶされ、恵まれた環境と資質を放り出した友人も多く見た。
私はたまたま「夢を仕事に」できたが、どれほどのものを失ったか。親とは決裂。友人や恋人と過ごす時間もなく、やっと夢が形になった時には難病を患った。幸いに今の主人と結婚して命と仕事を繋いだが、夢を叶えるのは実に困難だ。
それでも「夢」を捨てなかった少年「ビリー・エリオット」が、映画『リトル・ダンサー』の主人公。『ビリー・エリオット』と題したミュージカルも2005年にロンドンで初演、2008年ブロードウェイに進出して大ヒットを記録、翌年のトニー賞で10部門を獲得した。