藁にもすがる思いでたどり着いた健康法
災難は突然やってくる。が、よく考えてみると、そうなる原因はたいてい自分にあるものだ。
40代で子育てが一段落した頃、パートを始めた。隣の市にあるカントリークラブの厨房の仕事だ。毎日忙しく立ち働くなか、異変が起きたのは師走を迎えた頃。腰に時折痛みがあり、湿布を貼ってどうにかしのいでいた。
しかし、年が明けると左脚にしびれが走るようになる。日を追うごとに症状はひどくなり、我慢できず病院を訪れた。
診察の結果、坐骨神経痛だという。薬をもらって通院を始めたものの、1ヵ月経ってもいっこうによくならない。病院に見切りをつけ、今度は鍼灸院に頼るようになった。それでも体調ははかばかしくなく、治療費が無駄に消えていくばかりだ。
その頃には車も運転できなくなり、パートは休まざるをえない状況。どうにか立って歩けるものの、痛くてベッドに横になっている時間が増えていく。結局パートも辞めることになり、絶望のどん底へ落とされたような感覚だった。
悶々とする日々を送っていたとき、ふと思い出した。まだ20代の頃、東京の知人が通っていた、東洋医学をもとにストレッチなどの指導を行う教室に同行したときのことを。
その知人は、痛めた足を「導引術」という健康法で治していた。導引術は古代中国で生まれ、5000年の歴史を持つ。その手引き書を、私は今でも持っていた。隣県の本部に連絡を入れてみたところ、「すぐに来なさい」と言ってくれた。
夫に駅まで送ってもらい、1時間ほど電車に揺られて最寄り駅へ。歩いて本部に到着すると、畳敷きの広い部屋へ通された。しばらくして部屋に入ってきたインストラクターらしき人から、問診票を手渡される。本部の大先生は関西の教室へ指導に行っているそうで、ファクスで治療法を聞いてくれるとのこと。