テレビのニュース番組などで大々的に紹介されたこともあり、オープン初日は大混雑。約5000人が来店したという(撮影◎北村森)
専門家が独自の目線で選ぶ「時代を表すキーワード」。今回は、商品ジャーナリストの北村森さんが、「誠品生活 日本橋」を解説します。

台湾の超人気書店が上陸

この秋の東京は、新しい商業施設が注目を集めています。前回ご紹介した「渋谷スクランブルスクエア」に加えてもうひとつ、9月27日にオープンした日本橋の「コレド室町テラス」も見逃せません。

なぜ話題を呼んでいるのか。台湾の書店チェーン「誠品生活(せいひんせいかつ)」がこの2階に出店し、日本初上陸を果たしたからです。

誠品生活は、「アジアで最も優れた書店」(米『タイム』誌)に選ばれるなど、欧米からも高く評されている存在。書籍はもちろん、雑貨や食品なども揃えるセレクトショップで、あの蔦屋書店がお手本にしたともいわれています。台湾、香港、中国に40店舗以上ありますが、中華圏以外への出店は初です。

開業初日を含め、何度か訪れてみると……。最初に、日本初上陸という台湾のコスメやスイーツなどに目を奪われました。パイナップルケーキ、あるいは漢方コスメといった人気アイテムが揃っている。実際、そうしたコーナーには人だかりができていました。

でも、それだけではありません。書籍売り場は圧巻でした。新刊だけでなく、発刊から時を経ていても本好きの心をくすぐる単行本がしっかり並んでいる。「気にはなっていたけれど、まだ買っていない一冊」に出逢える、と表現したくなるような書棚なんです。

かと思えば、台湾側スタッフの視点から選んだ日本の小説やエッセイのコーナーもあって、心憎いばかり。並んでいたのは、夏目漱石、村上春樹、三浦しをん……。佐野洋子の絵本『100万回生きたねこ』もありました。

こうした棚づくりにしても、雑貨や食品の品揃えにしても、かなり練り込まれています。タピオカブームなど台湾人気が続いていますが、これからさらに盛り上がるでしょうね。