墓じまいを経験した人はなぜ決断し、どのような段階を踏んだのだろうか。「お墓」に翻弄された3人の話を聞いてみると、今の時代の課題が見えてきた
お寺ときちんと 話し合うのが大事
東京都出身の中村紀子さん(59歳)は、3年前に亡くなった実父の遺骨を、嫁ぎ先であるお寺の永代供養墓に葬った。
「父は20年ほど前から自分で霊園などを調べ、将来自分が納まる場所を探していました。でも、なかなかいいところが見つからなかったんです」
若い頃に関西地方から東京に出てきて、生活基盤も東京にあるため、今さら実家のお墓に入る選択はないというのが父親の考えだったという。そうこうするうちに、娘である中村さんが、東海地方にあるお寺の跡継ぎと結婚することになった。
「父の死後、最初はうちのお寺に1つお墓を建てようかと思ったのですが……。将来的に誰がお墓を見るのかと考えるとね。父の子は私と妹の2人ですし。結局、永代供養墓に納めることになりました。もちろん、ほかの檀家さんと同じ費用を納めましたよ」